征服者-Conquistadores- -3-
自由という物は酷く厄介だ。
それを行っている者からすれば楽しい事この上ないのだろうが、それに振り回される周囲は例外なく多大なる迷惑を蒙る。
そして現在、その自由を満喫しているコンキスタドレスに振り回される俺は、あまり表情が表れにくい所為で傍から見ればそうは分からないだろうが、酷く不機嫌だった。
「瞬、そんな仏頂面をしていても何も出てこないよ」
不機嫌の原因であるコンキスタドレスはそ知らぬ顔で白磁のカップに満たされた紅茶を啜っている。
コンキスタドレスをなんとか説き伏せてイタリアから脱した俺たちが現在居るのは、一時の拠点としている、日本の首都からほど近い白金に存在する移木